ゲット・アウト

この映画は1回目と2回目で全く別の観方になる映画です。

これほど1回目と2回目で視点が変わる映画には出会ったことがありません。

なぜこのような現象が起きるかというと、物語が2つ同時に進行するからです。2つの物語のうち1つは「主人公のクリスが彼の恋人であるローズの実家に遊びにいく」というもの、そしてもう1つは「ローズの一家がクリスの体を売ろうとする」というものです。1回目の鑑賞では2つの物語のうち前者しか見えてきません。もう一つのストーリーを見破るのは非常に困難です。主人公が彼女の一家に騙され続けながら、話が進行していくのです。物語の終盤になるまで主人公はそのことに気が付きません。

主人公が自分が騙されていることに気が付いてから物語は劇的に面白くなります。

主人公は「今まで信じていた人が実は自分を陥れようとしていた」ということに気が付き、見方だと思っていた人間が瞬く間に敵に変わるのです。

2回目の鑑賞で面白いのは、「ローズたちの悪の企ての伏線」が物語の前半のあちこちにちりばめられていることからです。

1回目では何の意味も感じなかった彼女らの行動1つ1つが実はすべて悪の企ての一部だったということがわかります。

1回目に伏線に気が付けなかった自分に苦やしさを感じながらも、映画の構成の面白さに思わず拍手を送りたくなります。

この映画は2回見終わって初めて完結します。

1本の映画がまるで2本の映画のように感じられ、経験したことのない後味を感じられます。